
88448 DE フィリップス 製造元/日本ビクター 非売品
1969年の7月21日に人類として最初に地球以外の天体である月に立ったアポロ11号の宇宙飛行士さん達の快挙を、劇的な月着陸第1声を中心に編集された、アメリカ航空宇宙局の録音による「月面着陸」記念レコード『
人類ついに月に立つ』ですよ。

[A面]
ケネディ大統領のお言葉:『なぜ月へ行くのだ』とある人々は言う。『なぜ、それを我々の目標として選ぶのか?』と。そうした人々はたずねるがよい 『何故高い山に登るのか』、『何故35年前に大西洋を飛んだのか』、『(※)何故ライスがテキサスと試合をするのか』と。(※)アメリカン・フットボールでライス大学にとってテキサス大学は宿敵の関係にあるわけです。 我々は月へ行くことを選んだ。この年代(1960年代)に月旅行を実現し、その上にほかの事もしようとしているが、なぜなら、それらがやさしいからでなく困難だからなのだ。
発射管制センター:こちらは、アポロサターン発射管制センター。アポロ11号打上げゴー。今回のアポロ計画は人類の最初の月面着陸を目指す飛行です。発射15秒前。誘導システム船内に切りかえ。12、11、10、9、点火開始、6、5、4、3、2、1、0 全エンジン噴射中、上昇!、上昇しました。(9時)32分。アポロ11号の打ち上げ。発射塔を越えました。
解説者:そしてこの火を噴く、耳をつんざく轟音の一瞬に、10年以上にわたる何千人もの人々のたゆまぬ努力と、幾世紀にもわたって培われた無数の人々の夢が結実しました。それは壮厳なサターン5型ロケットが、歴史の一頁に人間を、そして、未来に向けて人類を、打ち上げた時でありました。
1969年7月16日、まさに午前9時32分、全世界の人々の鼓動は瞬間止まった。ニール・アームストロング、エドウィン・オルドリン・ジュニアおよびマイケル・コリンズの三人の宇宙飛行士が、恐らくは、再び同じではあり得ぬ世界を後に、宇宙を越え、もう一つの天体、月への最初の人類着陸を目指して飛躍したときであった。アポロ11号の画期的な旅程が始まったのである。
続く3日半のあいだ、アポロ11号は天空高く昇り続けた。人間と科学技術の偉業が、いささかの狂いもなく、なしとげられている中で全世界の眼と耳は、宇宙船が地球軌道に打ち上げられ、次いで月軌道コースに突進するのを追っていった。乗組員が司令船(コロンビア)と月着陸船(LEM,イーグル)の切離しとドッキングを行い、またその後に残ったサターン5型ロケットを、太陽軌道にすてさる仕事に、我々は驚嘆した。私達はアポロ11号が二日の間、月面目標地に向かい、確信をもって進んでゆくのを忍耐強く見つめて待った。三日目には月軌道突入に成功し、月の引力を利用しながら、次の24時間のあいだ、月軌道を周回した。ついに四日目には、コロンビアとイーグルの劇的な切り離しが行われた。まさにそのとき、アポロ11号の飛行は、人間の最も記念すべき偉業へと第一歩を踏みだしたのである。東部夏時間、午後4時頃、マイケル・コリンズがコロンビア内にあって月軌道を周回している時に、ニール・アームストロングとエドウィン・オルドリンは、月に向かうイーグルの下降を始めたのだった。
下降開始から月面着陸まで
イーグル:ラジャー。イーグルは切り離された。
ヒューストン:ラジャー。様子はどう?
イーグル:イーグルは翼を持った。
ヒューストン:イーグル、こちらはヒューストン。下降噴射点火にゴー
の指令だぜ、どうぞ。
イーグル:ラジャー。了解了解。
イーグル:ゴーだ。しっかりゴー。着陸60秒前。点火。下30フィート、2.5フィート。少し埃が立っている。30フィート、2.5フィート。わずかに影。前4フィート、前4フィート、右へ少し流れている。6.5フィート。
ヒューストン:あと30秒、了解。
イーグル:うん、うん。
イーグル:接地灯は?よし、エンジン停止。(音声不明瞭)下降。船内管制ともに自動。下降ロケット司令ただちに終了、エンジン・アームはずす、413が入った。
ヒューストン:確認した、イーグル。
静かの基地:ヒューストン、こちらは「静かの基地」。イーグルはいま着陸したよ。
ヒューストン:ラジャー。静か・・静かの基地。地上で確認した。こちらでは大勢の連中が青くなりそうだったけど、いまひと息ついたよ。ありがとう。
静かの基地:こちらこそサンキュ。
静かの基地:ヒューストン、最終段階が随分長く思えたかもしれないな。自動目標装置によると、われわれは、大きさがフットボール競技場・・えぇっと、フットボール競技場位のクレーターの真ん中に向かって下降させられるところだった。そのクレーターの周囲の、クレーターの同じから倍くらいの大きさの範囲内に、大きな岩や石が数多くあったし、P-66(非自動飛行)に切りかえ、手動で降下する必要が生じ、岩場を越えて、割合良い所を探したんだ。
ヒューストン:結構だと思うよ、静かの基地。この部屋の中は勿論、世界中に笑顔が満ち溢れてるよん。
静かの基地:なーるほど。ここにも二人いるよん。
ヒューストン:ラジャー。見事な操作だったぞ、お二人さん。
コロンビア:それから母船にいるもう一人もお忘れなきよう。
ヒューストン:ほい。
静かの基地:この辺りを詳細にこれから見てみるが、あらゆる形状、角度、粒状のものが集まっている。岩と名のつくものは何でもありそうだ。色は、そうだな・・どういう方角から見るかによって、かなり色が違うようだ。一概に何色だとは言いにくい。しかし、この近くにある岩や石の中には、いくつか変わった色のものがありそうだ
。どうぞ。
ヒューストン:ラジャー。確認した。

[B面]
人類ついに月に立つ(月面第1声)
静かの基地:ヒューストン。こちらは静かの基地だ。船内減圧の準備完了。どうぞ。
ヒューストン:静かの基地。こちらヒューストン。船内減圧はゴー。船内減圧はゴー。
静かの基地(アームストロング):いまハッチを開く。オーケー、ヒューストン、今出口に立っているぞ。
ヒューストン:了解。ニール。テレビに映像が映り出した。オーケー、ニール、君が梯子を下りてくるのが見えるる。
静かの基地(アームストロング):いま梯子の最後の段にいる。今着陸船から離れる。
これは人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な躍進だ!
(アームストロング):表面は・・微細な粒子で粉っぽいから、爪先でそーっとすくい上げることができる。まるで炭の粉のように、薄い層になって、ブーツの裏と両側にくっついてしまう。ボクの足跡は、1インチの何分の一か、たぶん8分の1インチくらいしかめりこまないけど、ブーツの跡と裏底の跡は、細かい砂のような粒子の上にはっきりと見える。まったく独特の荒涼とした美しさ。アメリカの高地の砂漠とよく似ているな。同じ、とは言えないが、ここは大変きれいだわぁ☆
オルドリン:(後ろを向いて)下がってハッチを少し閉めたいと思うんだけど、勿論、出るときに鍵をかけてしまわんようにしないと、ね。
アームストロング:あっはっはっは。
オルドリン:オーケー、梯子の一番上にいる。ここから遠隔制御装置を見下ろせる。・・・(雑音)一段ずつ簡単に軽く跳んでおりられる。
アームストロング:あぁ、たいへんに心地良し。歩行もとってもらくチンよ。
オルドリン:表面が非常にやわらかい感じのためだと思うけど、後方にややひかれるような傾向が少しあるみたい。(アームストロングとオルドリンの声が混ざり)
アームストロング:君は今、そこで大きな岩の上に立っているんだ。
オルドリン:岩はかなりすべすべしているといっているんだ。
アームストロング:行きたい方向に体を傾けるように注意せんといかんよ。さもないと・・。
オルドリン:(気をつけて!)あのクレーターのふちはだいぶん柔らかいぞ。
アームストロング:そうそう、そうだとも。ホーントに柔らかい。
オルドリン:へい、ニール。紫色の岩があるかもしれへん、っていってただろ?
アームストロング:おっ、紫色の岩を見つけたの?そうなの?
オルドリン:えっへん、そうとも。
オルドリン:ニールは今、銘板のカバーを取っておりますよ。
アームストロング:(読む)この銘板には「西暦1969年7月、惑星地球からはじめて人間が月に降りたった。我等は全人類のために平和のうちにやってきた」と書かれている。そして乗組員の署名と、アメリカ合衆国大統領の署名がきざまれている。
ヒューストン:あぁ、そうだ、彼らは今ちょうど旗をたてた。星条旗を(音声不明瞭)見ることができる。えーと、ニールとバズ、大統領が今、ホワイトハウスから君たちに話をされたいそうだ。どうぞ。
静かの基地(アームストロング):それは光栄です。
ヒューストン:どうぞお話し下さい、大統領、こちらヒューストン、切ります。
ニクソン大統領のメッセージ:ハロー、ニール君、バズ君。私は今、ホワイトハウスの楕円の間から君達に電話をしておる。これは勿論今までのうちでもっとも歴史的な電話であろう。あなた方の行為を我々がどれほど誇りに思っているかを言い表わす言葉を知らない。全てのアメリカ人にとって、また、全世界の人々も、きっと我々と同様にこの業績の偉大さを認めるに違いない。君達が成し遂げたことによって、宇宙は人間の世界の一部となったのだ。君達が静かの海から我々に話しかけてくるとき、我々は、地球に平和と静けさをもたらすために、なお一層の努力をしようと奮いたたされるのだ。人類の歴史に於ける、この何ものにも代え難い一瞬に、地球の全人類は真に一つ・・君達の業績を誇りに思う気持ちにおいて一つであり、又、地球への君達の無事な帰還を祈る上でも一つなのだ。
静かの基地(アームストロング):どうもありがとうございます、大統領。アメリカ合衆国ばかりでなく、平和を愛する国々、そして興味と関心と探究心および、未来へのビジョンをもつ人々を代表して、我々がここに来られたことは、この上ない名誉と光栄であります。今日、この事業に参加できた事は、我々にとって名誉であります。
かくして歴史は作られた・・
そして、かくして一国民のその運命との出会いは達成されました。ジョン・F・ケネディが、月計画が始められるはるか以前の1961年当時に言ったように、『宇宙は、今や開かれている。そして、その意味を分かち合おうとする我々の熱意は、他の何人の努力によっても、左右されるものではない。我々が宇宙に向かって行くのは、人類が成さねばならぬものは、それが何であろうとも自由な人間たちによって全て参加されなければならぬからだ』今や、アポロ11号は歴史となりました。そしてこれは終焉ではなく・・ほんの端緒にしか過ぎないのであります。