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ヤングセンス

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集英社 320円

ギターファンのための雑誌『ヤングセンス』の1971年のSPRING号です。
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巻頭カラーは全4ページ。”緋牡丹のお竜” 藤純子さん、PYG本田路津子さんときて最後がレモンちゃんこと落合恵子さん。なんとも統一感のないバラバラなチョイスが素敵ですわ☆
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綴じ込み付録の『ギター・ワッペン』。「切りぬいてサイドにはるんだよ」とありますが、うーん、ちょっとそれは御勘弁を。

特集は「春のギター・セミナー」。7人のトップ・ギタリストがキミのために作・編曲したレッスン曲でガッチリしごいてくれる特訓教室(!)おー、わくわくドキドキ☆どんな特訓が待ち受けているんでしょう。

まずは【フォーク・コース】講師はジローズの杉田二郎さんですよ。お題は「アルペジオはバラードだけのものか?」。
ヤングセンス_b0100078_2132624.jpg「キミはフォークギターを普段どのように弾いているの?」
「えーと、スローな曲は、たいていアルペジオで、アップテンポの曲はコードストロークでジャカジャカとやってますが・・」
「たしかに、それは曲に合った弾き方ではある。しかし、それだけではほんとうにフォークギターをマスターしたとはいえない」
「ええっ!?それでは、どうすればよいのですか先生!」
「ふむ。ボクはキミに第3の演奏法『フィンガリング奏法』をマスターしてもらいたいのだ」
「は?ヒンガリング?」
「違う、フィンガリングだよフィンガリング。『リズミック・アルペジオ』とも呼ばれるテクニックなのだ。そう、アルペジオの倍のテンポと覚えておくがよい。よくウェスタンでバンジョーをチャカチャカやってるだろ?いわばあれのギター版だ」
「ほほう、なるほど。なんとなくわかります」
「よし、ならばキミのために作曲したこの『涙は明日に』をやってみたまえ。バンジョーのような軽快なスピード感が出せたら、カポをつけてハイトーンでやるともっといい感じになるぞ。さあ、指がヒリヒリするまで弾きまくるのだ!」
「ひぇ〜」

次は【POPS歌謡コース】講師は、はしだのりひこ先生。お題は「フォーク+ロック どんどんミックスさせろ」。
ヤングセンス_b0100078_21354023.jpg「私はキミに(フォーク的ムード)+(ロック的ムード)=リズム的めりはりガッチリのPOPS調演奏のテクニックを伝授してあげたいと思っている」
「ははっ、ありがとうございまする」
「まずは私が文化放送のDJ、落合恵子サンのために作曲した「昨日にさようなら」という曲を弾いてもらう」
「はは。あーこれは先生の大ヒット曲『花嫁』と構造が似ておりますね?」
「うむ。こういった曲を生かす弾き方が、最初にあげた公式にあてはまるのだよ」
「ほほー、それで具体的には・・」
「慌てるでない!これからちゃんと説明する」
「すみません(怒られちまった、はー)」
「まずは、親指と薬指を同時にはじく」
「こうですか?ピーン♪」
「すかさず人差し指と中指で」
「おっ、と、はいっピーン♪」
「サビはシェイク。はじめは1小節4拍をチャッチャッと弾き下ろすだけでもよいぞ」
「はい。チャッチャッ、ほれチャッチャッ♪」
「感じをつかんだら、右の人差し指1本でやるのだ。切れがよくなるまで練習練習!」
「はいっ練習練習。って先生、どこらへんがロック・・」
「はいっ、そのまま人差し指でひたすらシェイクシェイク!」
「あー先生、指から血が・・」
「かまわずシェイクシェイク!」
「ひょえ〜」

3番目は【ウェスタン・コース】講師はムッシュこと、かまやつひろし先生。お題は「幌馬車スタイルだけがウェスタンなのか?
ヤングセンス_b0100078_21374942.jpg「ぼくはデビューしたとき、ウェスタン・バンドにいたものだから、いまでもウェスタンが大好きなのよ。シンプルなコード進行、アクの強い節回し、これがなんともいえないんだよね」
「はい、ウェスタンの・・」
「でもこれはやっぱり古いウェスタンの特徴なのね。幌馬車パカポコの時代のもの。ところが今や、大西部はイージーライダー風のオートバイでブッ飛ばしたほうがカッコイイ時代なのよ。ウェスタンもグレン・キャンベルやCSN&Yに感じられるモダンなコード・ワークやリズムの取り方の時代なんだろうね」
「おっしゃる通りでございます」
「だからこの曲をレコーディングする時は、イージー・ライダー風にしたかったんだけど『男の哀感』をだすために、あえて幌馬車スタイルでやってみた」
「あー、そうなんですか。あえて古いスタイルで・・。なるほど、それで課題曲はこの『どうにかなるさ』でよろしいのでしょうか?」
「そう。レコードみたいにのどかな感じを出すようにやってみて。リズムは普通のワルツで」
「あ、はい。こんやの夜汽車でー、旅立つオレだよー♪」
「そうそう、マイナーな男の哀感を出すように」
「あてなどーないけどーどーにかなるさ♪」
「はいはい、次はイージーライダースタイルで」
「へっ?」
「マイナーコードを3つ足して、ズンズンチャーカツカツンチャー」
「はへ?」
「足で4拍子のテンポを刻みながら、ズンズンチャーカ」
「ありゃりゃー」

4番目は待ってましたの【ロック・コース】講師は井上堯之先生。お題は「”ノリ”からこそグーなフレーズが生まれる
ヤングセンス_b0100078_21383683.jpg「最近ぼくがつくづく感じていること。それはロックにとって”ノリ”ほど大切なものはないということなんだよね」
「”ノリ”ですか」
「そう、”ノリ”ね。たとえば、ちょっと見るとつまらないフレーズでも、アクセントの位置を変えただけでフシギなくらいゴキゲンになるでしょ?」
「あー、それはタイミングとかそういったことでしょうか?」
「そうね、そんな感じ。その”ノリ”をわかってもらおうと作ったのがこのソフト・ライダースっていう曲なのよ」
「GFGFGFGF♪」
「途中で4分の3とか、4分の5とか、ムズかしそうなところもあるけど基本のビートにのっていれば大丈夫。おっとその前に」
「え?」
「シンコペーションの練習が先ね」
「あ、はい。タァタァタァタァ タァタタタァ♪」
「そうそう、声を出しながら、体でリズムをとること」
「タァタタァータァ タァタタァータァ♪」
「基本のテンポでどこまでノレるかな?」
「イチニィサンシィ イチニィサンシィ♪」
「そうそう、そのノリでこのフレーズを弾く」
「ウン ンタ タターン タカトンタカトンタカタトンタカタカ♪」
「そうそう、その調子でリズム人間になるまで弾き続けるのだ。プロの道は近い!」
「ホントですか〜?ウン ンタ タターン♪」
「”ノリ”ね。ノリ♪はい、ウン ンタ タターン♪」

5番目はホントはこれが好きなのよの【モダンジャズ・コース】講師は川崎燎先生。お題は「ジャズ・ブルースで興奮のアドリブを!
ヤングセンス_b0100078_21391312.jpg「ジャズとブルース。これは切っても切り離せないものだ」
「はい!」
「黒人がブルースをつくり、それを母胎にジャズが生まれた」
「はいはい」
「はい、は一回でけっこう」
「あ、すみません」
「またジャズの中でも、ジャズ・ブルースとして、ブルースはひとつのパターンをつくりあげているんだ」
「はい
「このパターンを理解して、アドリブのテクニックを身につけていくことは、ジャズを志すキミにとって、ぜったいに必要なことだと思う」
「あー、はい」
「ふつうブルースのパターンといわれるものは、1コーラスが12小節で構成されているよね?」
「あ、はい。ブルースはふつう12小節です」
「そう、コード進行も主要3和音で出来るというわけだ」
「はい、簡単なところが魅力です」
「だけど、和声的に高度に進歩した現在では、これはまったくナンセンス」
「あー」
「この基本パターンがどこまで発展できるか。いいかえると、どこまで不協和音スレスレまでもっていけるかが、興味の中心になってきているんだ」
「うっ、そうなんですか!」
「まずはこの基本的なパターン GGGG/CCGG/D7D7GG を弾きなさい」
「あ、はい。チャーチャーチャーチャーチャーチャーチャーチャー」
「はい次はこれ。 G7C7G7G7/CC7G7Bm7/Am7D7G7Am7」
「チャーチャーチャーチャー(おぉ)チャーチャーチャーチャー(ほぉー)」
「何度もくり返してその違いを感じとるように」
「あ、はっ、はい」
「感じをつかんだら、スケールの練習に入ろう。ブルーススケールの特徴は第3音と第7音をフラットさせることね」
「(おっ、これならちょっと得意だわ)はい!」
「頭の中では絶えずコード進行を描くこと」
「ほい、はいコードコード」
「それではぼくのオリジナル練習曲に挑戦だ」
「あ、はーい。(おわっ、なんじゃこれ?いきなり難しいがな。なんかわけわからん。はー)」

6番目はとにかく挑戦の【クラシック・コース】講師は小原聖子先生。お題は「アポヤンドとアル・アイレから無限のメロディが生まれる
ヤングセンス_b0100078_21395741.jpg「クラシック・ギターのマスターは、ほかのジャンルのギターとくらべて、かなりの忍耐を必要としますわよ」
「あ、は、はい・・」
「でも大丈夫。それをのり越えさえすれば、無限の音楽的世界がひらけるのです」
「はっ」
「たとえば18世紀の古典を演奏しているときなど、宮廷の舞踏会に招待されているような気持ちになれます」
「(おぉっ☆)はい♪」
「ちょっとオドカしましたが、まぁ、そこまでいかなくても、少なくともクラシックギターの美しいメロディーだけでも、楽しんでほしいと思いますわ」
「(はぁー)あ、はい」
「そこで友人にたのんで簡単な練習曲を用意しました。まず、2つの基本テクニックを覚えてください」
「(2つ♪)はい、基本のテクニックですね」
「ひとつ目は、アポヤンド。これは1本の弦を弾いたとき、その指をとなりの弦にぶつけて止める奏法です」
「ほっ」
「強い指先のタッチが必要ですよ。これはおもにメロディーを弾くときに使います」
「ふむふむ」
「もうひとつは、アル・アイレ。これはアポヤンドのようには、強くなく、弾いた指をスっと宙に浮かせる奏法です。これはおもにアルペジオなどの伴奏用に使います」
「アル〜アイレ〜♪」
「わたしは、ふざけるのはキライですわ」
「す、すみません。いつもの癖で、つい・・。」
「まぁ、いいでしょう。遊びのつもりで適当にやってくださいな」
「あー」

最後はどうしましょうの【歌謡曲コース】講師は『小樽のひとよ』の鶴岡雅義先生。お題は「ハイ・トーンに演歌の魂を吹きこめ
ヤングセンス_b0100078_21403967.jpg「日本の歌謡曲、とくに演歌は、なぜかラテンのムードとシックリいく」
「あ、そういえばそうですね」
「ぼくが歌謡界にレキント・ギターを持ちこんだ理由もそこにある」
「なるほど。(あー、レキント・ギターって知ってる知ってる。シューくんの家にあったやつね、なっつかしいわぁ。そういえばシューくん、どうしとるかね。もう何年も会っとらんけど、元気にしとるんかなぁ。そうそう、シューくんといえばデビッド・ボウイ、デビッド・ボウイといえばシューくんやったね。日本のスターマン☆ジギー・スターダスト!まだ、デビッド・ボウイ好きなんかやろか?髪型も真似しとったねぇ、シューくん。顔はちっとも似てへんけどね。あいかわらずドケチなんやろなシューくん)」
「レキント・ギターを持っていないから、と心配しなくても大丈夫。ふつうのギターの5フレットにカポタストをつければOKだよーん」
「(はー、そうか。5フレットにカポ、ってずいぶんハイトーンなのね、レキント・ギター)了解しました!」
「レキント・ギターはふつうのギターより完全4度高くできているわけだ」
「なるほど、なるほど」
「演奏するときは、強い指づかいと、音のキレが大切。この2つがハイトーンをキレイに出せるかどうかの分かれ目になるのだよ」
「はいっ、大変参考になりました!ありがとうございました。」

ページをぱらぱらとめくると、なになに?「ニューロックその新しい傾向」。大雑把に5つのスタイルに分けて代表的なグループが紹介されておりますよ。
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ラテン・ロック
ボンゴ、コンガなどのラテン系リズム楽器を多く使った新しいセンスのロック。といってもあくまでロックであって、ラテン・バンドが8ビートを使ったものとはまったく違う、のだそうです。
例:サンタナ、ジンジャー・ベイカーズ・エアフォース

ジャズ・ロック
厚いブラス・セクションが加わり、ジャズ的な味が濃い。だからロックとしてはかなり高度、なのだそうです。
例:ブラッド・スウェット&ティアーズ、シカゴ

ブルース&ハード・ロック
白人ブルースはニグロ・ブルースのコピーに始まって、電気増幅によるバカでかいボリュームを生みました。それが一般的にハード・ロックに発展している、のだそうです。
例:テン・イヤーズ・アフター、ジョン・メイオール、フリー、レッド・ツェッペリン、フー、グランド・ファンク・レイルロード、ブラック・サバス

カントリーorニューフォーク・ロック
カントリー&ウェスタン あるいはフォークソングの味をロックに取り入れたもの、だそうです。
例:ボブ・ディラン、バーズ、CC&R、CSN&Y、バンド、ポコ、ジェームス・テイラー、メラニー、ローラ・ニーロ

プログレッシブ・ロック
きわめて主観的なロック コマーシャル性は少ないが、多くの実験的試みはとても新鮮、なのだそうです。
例:ピンク・フロイド

ヤングセンス_b0100078_21572330.jpg小さな特集は、ヘドバとダビデ。『ナオミの夢とスネークダンスの音楽的関係、中近東サウンズは新しいブームとなるか?』です。新しいフィーリングのサウンドが受けていまヒット中の『ナオミの夢』を音楽的に考察する、というナウな企画。音の幅の少ないメロをふつうの8ビートよりも複雑で柔らかく感じられるリズムにのせた「スネークダンス的サウンズ」、いいかえれば「中近東的サウンズ」に、いままでのポップスのスタイルをミックスしたところに新しさがあるのだそうです、はい。
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はっぴいえんどの皆さんが登場している『GUTS』の広告ページ。「おれたちに言葉はいらない。夏の海と白いギター Gパンにウエスタン・ハット 気まぐれな6月の海 ガッツで結ばれたおれたちに 言葉はいらない」

by mokki_h | 2008-04-23 18:12 | ギター  

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